カフェ・喫茶店の数は
毎年右肩下がりを続けています
開業する分野として常に人気のカフェ・喫茶店。
全盛期の1981年には、154,630店のカフェ・喫茶店が存在していました。
しかし以来、毎年徐々に店数は右肩下がりを続け、2014年時点では約3分の1の49,298店にまで数を減らしています。
▼カフェ・喫茶店数の推移
1981年 | 154,630 | 2001年 | 88,933 |
1986年 | 151,054 | 2004年 | 83,684 |
1991年 | 126,260 | 2009年 | 77,036 |
1996年 | 101,945 | 2012年 | 70,454 |
1999年 | 94,251 | 2014年 | 49,298 |
(総務省統計局-事業所統計調査報告書より)
また、店数の減少に伴い、カフェ・喫茶店の経営形態も変化してきました。
現在は大手チェーン店の台頭が著しく、以前よりもスターバックスやドドールコーヒーなどのチェーン店が増加の傾向にあります。一方で、個人経営のカフェ・喫茶店はピーク時の半分以下にまで減ってきているのです。
ここからは上記のような業界の動きを踏まえ、カフェ・喫茶店開業の現状をお話します。
開業率よりも廃業率のほうが高い
カフェ・喫茶店業界
このページをご覧になっている方の中には、カフェ・喫茶店の開業をお考えの方もいらっしゃるかもしれません。そこであえてお伝えしたいのが、安易な開業は禁物だということ。「お洒落なカフェをひらけば、なんとかなるだろう」なんて考えていたら大変な思いをしてしまいます。
少し古いデータにはなりますが、厚生労働省の「生活衛生関係営業経営実態調査」によれば、1996年~2001年の新規開業率は3.4%。それに対し廃業率は6.1%となっています。
平成13年でいうと、約3,000の店が新規開業し、約5,500の店が廃業した数値です。つまり全国で計2,500もの店が減ったということになります。
上記の記事「カフェ・喫茶店業界の動き」で紹介した通り、お店の総数は毎年減少を続けているわけですから、少なくとも今もなお廃業数が開業数を上回っていることが推察できます。
では、多くのお店が廃業に至ってしまうのはなぜなのでしょうか?
理由の1つとして考えられるのは、競合との差別化が上手くできていないという点です。
店数が減っているとはいえ、全国49,298店といえばコンビニの数とほとんど同じ。しかも、大手コーヒーチェーンやファミリーレストラン、ファーストフード店など、競合となりうるお店が数多く存在する今、ライバルとの差別化は必須の課題となっています。そんな状況の中、差別化ポイントを上手に打ち出せなければ、個人のカフェ・喫茶店として生き残るのはかなり難しいはずです。
ただ、一口に「差別化ができていない」といっても、その中身には2つのパターンあります。
自分のお店の差別化ポイントを考えず、安易に開業してしまうパターンです。
カフェ・喫茶店は、特別な技術を必要とせず、資格の取得にもそこまで時間がかからないため、開業の敷居が比較的低いといわれています。もちろんその事自体が悪いわけではないのですが、開業しやすい分、安易にお店を開してしまう人が多いのも事実なのです。
大手チェーン店が増え、個人のカフェ・喫茶店が淘汰されてきた今だからこそ、圧倒的な差別化を行わないとお客さんは集められません。お客さんが集まらなければ当然利益が立ちませんので、廃業してしまう可能性が高くなります。
ライバルに勝てる差別化ポイントはあるのに、お客さんに上手く伝えられていないパターンです。
コンセプト・内装・メニューなど、せっかく素晴らしい差別化ポイントがあっても、お客さんにそれが伝わらなければ足を運んでもらうことは出来ません。
お店についての情報発信をしっかり行ない、自分のお店がいかに素敵なお店なのかを周囲に知ってもらう必要があります。それができて初めて、開業を成功させ、カフェ・喫茶店を人気にするための一歩を踏み出す事ができるのです。逆にそれができなければ1つ目のパターンと同様、廃業の危機に直面してしまうことは言うまでもありません。
一般的にカフェ・喫茶店の
年収は2〜300万円です。
さて話は変わりますが、カフェ・喫茶店経営者の年収がどれくらいかご存知でしょうか?
お店の規模や知名度にもよりますが、一般的なカフェ・喫茶店の年収は200万円〜300万円といわれています。もちろん300万円以上を稼ぐ人気店も中にはあるようですが、実際は収入があればよい方で、赤字経営をしているお店も少なくないようです。
カフェ・喫茶店は基本的に客単価が低い業種です。客単価×お客さんの数が売上になるわけですが、コーヒー一杯300円〜600円程度、お菓子や軽食も300円〜800円程度など、カフェ・喫茶店で扱う商品のほとんどが低価格帯のものです。
最近では、ランチや夜ご飯を提供したり、お酒や小物などを販売するお店も増えてきたので一概には言えませんが、客単価が低くなりやすい分、お客さんの数で勝負しなければならない分野であることは間違いありません。
しかし先ほど記述したとおり競合の多いこの業種。お客さんの獲得が非常に難しいため、どうしても平均収入は少なくなりがちなのです。
また、経営者は開業資金として100万円〜1,500万円の支出を行わざるを得ません。この点をかんがみると、300万円程度の収入は決して十分ではないように思えます。
カフェ・喫茶店の経営者が経営を続けていくためには、競合との差別化とお客さんを集めるための戦略が必要なのです。
「宣伝活動」が
開業の成功を左右します
などなど、カフェ・喫茶店を開業するまでには、さまざまな準備が必要です。
ただ、繰り返しますが、忘れていけないのはお客さんを集めるため戦略。すなわち「宣伝活動」です。お客さんに存在を知ってもらえなければ、誰もお店に来てくれませんし、例えお店の存在を周知できても「どんなお店なのか」「こだわり・特徴はどこなのか」を伝えられなければ、お客さんの選択肢からは漏れてしまいます。
せっかく素敵なお店と美味しいコーヒーを用意しても、お店に人が来てくれなければ意味がありません。なので、開業準備の一環として宣伝活動に力を入れることをオススメします。
開業のお知らせという形で、チラシを作ってポスティングしたり、お店の前に看板を出すなど、できる限りのことを行なってみてください。FacebookやTwitterといったソーシャルでの告知も良いかもしれません。
また、お客さんの多くはネット検索で行きたいカフェ・喫茶店を探しますので、ホームページを持っておくと効果的です。ホームページであれば、お店のこだわりや特徴はもちろんのこと、新しいメニューや休業のお知らせなどの最新情報も発信できるので大変便利です。
厳しい現状があるとはいえ、準備を怠らなければ成功できる可能性は十分にあります。競合に負けないお店づくりとお客さんを集めるための宣伝活動を、まずは考えていただければと思います。
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