近年の少子高齢化にともない、高齢者からの需要が高まってきている職業があります。
それが「便利屋」です。
現在日本では少子高齢化、核家族化が着実に進行しています。 2014年に出された内閣府の調査によると、65歳以上の高齢者人口は過去最高の3,190万人を突破。総人口を占める高齢者の割合は25%を超え、その割合は今後ますます上昇していくと推定されています。
(平成26年版高齢社会白書(全体版) より引用)
上記データによると、高齢者数とその割合は下記のようになります。
高齢者数 | 全人口に対する割合 | |
2015年 | 3,395万人 | 26.8% |
2020年 | 3,612万人 | 29.1% |
2025年 | 3,658万人 | 30.3% |
2030年 | 3,685万人 | 31.6% |
2035年 | 3,741万人 | 33.4% |
高齢者の数はどんどん右肩上がりになる一方で、現役世代(15~64歳)の数は減っていき、2035年には1人の高齢者を1.7人の現役世代が支えるという構造になるそうです。
1人の高齢者に対して12.1人いた1950年と比べると、いかに今後、高齢者を支える人手が必要になるかが分かります。
女性や外国人の方からも
必要とされている職業です
また、便利屋は女性からも必要とされています。
その理由としては下記のような理由です。
たとえば家具の移動といった力仕事や、家事全般など、女性が生活の中で誰かに手伝ってもらいたいと思う場面はたくさんあります。単身で生活する女性、仕事をしている女性であれば、なおさらです。
このような社会的背景から、便利屋のような存在を必要とする人は増えてきているのです。ちなみに昨今では女性をターゲットとした「女性が運営する」「女性スタッフのみ」の便利屋なども登場しているようですね。
さらに最近では、国際化の影響もあり、外国人も便利屋を利用することが増えてきているそうです。言葉も文化にも慣れていない日本という異国の地で、外国の方は誰に相談すればよいのかすらもわからないことも多いはず。そんなときに、便利屋という存在は彼らにとって大きな「手助け」になることでしょう。
外国語を話せたり、海外のお客さんと話すことに抵抗がなければ、彼らをターゲットに便利屋という仕事をしてみるのも1つの手かもしれません。
便利屋の仕事は非常に幅広いです。
多い業務はハウスクリーニングや家事代行のようですが、他にも様々な仕事依頼があります。
▼業務内容の一部
などなど、挙げればキリがなく、とにかく色んな業務をこなさなければなりません。
上記のような業務内容からも分かるように、便利屋は想像以上に大変な仕事です。力仕事はもちろん気持ちに負担のかかる作業も中にはあるので、精神的にも体力的にもタフでないともちません。
ただ、時間の調整がつけやすい点や、見かた次第でどんな内容でも仕事にできる点が良いところです。人と関わることが好きだったり、色んな業務を行なってみたい人には向いている仕事だと思います。
唯一必要なのは〇〇
便利屋として開業する場合、下記2つのパターンが考えられます。
1)フランチャイズに加盟する
2)独立開業する
フランチャイズに加盟した場合、ネームバリューもありますし、いくぶん信用が得られるので、仕事を取りやすいというメリットがあります。ただし毎月ある程度の費用を本部に支払わなければなりません。
一方独立開業した場合、知名度も信用もない状態から始めるので、最初はなかなか仕事をとりにくいというデメリットがあります。しかし一度軌道に乗ってしまえば全て自社の収益になるので、利益を出しやすいとも言えます。
それぞれのメリット・デメリットはもちろん、業務エリア等の状況を考えた上で、自身に合った開業の仕方を選ぶのがよいでしょう。
さて、上記どちらの形態で始めるにしても、便利屋は大変開業しやすい仕事です。資格は必要ありませんし、資本金や店舗、特別な設備や専門技術などもいらないので、誰でも簡単にスタートできます。
ただ、唯一必要なものがあります。それは「信用」です。便利屋ができたからといって、信用も実績もない業者にお客さんは来ません。お客さんの立場で考えてみると至極当然ですよね。最近オープンしたらしい名も知らぬ便利屋に仕事を頼むのは、ためらいを感じます。
便利屋は、業務上お客さまのお宅にお伺いすることの多い業種です。家事の代行で、お子さんのお世話、介護のサポートなど、お客さまの家にお邪魔することは少なくありません。その場合、お客さまは依頼する業者に対して非常に慎重になります。なぜなら、いまいち信用出来ない業者を家に入れるのは、とても勇気がいるからです。女性のお客さまであれば、なおのこと注意深く業者を選びますので、少しでも信用できないと感じたらそこに頼むことはありません。
つまり、便利屋は信用がなければ成り立たないのです。便利屋は地域密着型の仕事ですから、お客さんの評判が経営に大きく影響します。しかしそれだけに、信用さえ得られれば口コミが評判を呼び、お客さんからの依頼を増やせる可能性もあります。
とにかく必要なのは信用。そのためにどれほど実績を積めるかがポイントになります。
ところで、便利屋の年収がどれくらいなのかご存知でしょうか?
地域や経験によって異なりますが、一般的には下記のような状況のようです。
1)フランチャイズに加盟した場合:180万円〜300万円程度
2)独立開業した場合:200万円〜700万円程度
中には月に100万円以上を稼ぐ人気の便利屋も存在するそうですが、稼げていない業者の方が多いと聞きます。特に開業直後は知名度も信用もないため、お客さんからの依頼がなかなか得られず、収入がゼロのことさえあるのだそうです。
では、お客さんに仕事を依頼してもらうにはどうしたらいいのでしょうか?
まずは、一人でも多くの方にあなたのことを知ってもらうことが大切です。
タウンページへの登録、新聞の折込チラシやダイレクトメールのポスティングは必須で行ないましょう。郵便局や公民館、薬局や地域の広報掲示板など高齢者の方がよく足を運んでいるところにチラシを置いてもらったり、ポスターを貼ってもらうのも効果的です。
そして、どの広告にも顔写真を載せておくことをお勧めします。先ほどもお伝えしたとおり、便利屋は信用が第一。笑顔の写真を載せることで、「来てくれるのはこんな人なのか」と信用度が高まります。その意味でチラシやダイレクトメールは、できれば直接渡せると良いです。直接顔を見てお話できるので、信頼度がぐんと上がるはずです。
また、ホームページの作成も非常に有効です。「高齢者はネットを見たりしないのでは…?」と思われがちですが、そんなことはありません。平成24年の調査で、60歳〜64歳の71.8%、65歳〜69歳の62.7%、70歳〜79歳の48.7%がインターネットを利用しているというデータが出ています。高齢者でも最近はネット検索で必要な情報を集めていますので、ホームページの作成はおすすめです。
厳しい現状のある便利屋の開業も、集客の手段次第で十分に成功できる可能性があります。
まずはできることから始めてみてください。
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