
一般的に「士」のつく職業は、社会的なステータスも高く、安定的な稼ぎを得られると思われがちです。しかし、現実はそんなに甘くありません。実際は、開業したはいいものの、全く収入が得られずにいる困っている行政書士さんが少なくないのです。
もちろん1,000万円以上を稼ぐような人気の行政書士も中には存在しますが、それは全体のほんの一部。現在、行政書士業界では、4桁の年収を稼ぐ人と全く収入が得られず首の回らない人というように、二極化の傾向が見られます。
さて、その二極化の要因には、行政書士業務の特徴である「顧問契約が取りにくい」という点が大きく関わっています。社会保険労務士や税理士といった他の士業に比べて、行政書士は業務内容的に同じ顧問先と長く仕事をしていくということが難しい業種です。そのため、単発の仕事が多く、売り上げがどうしても安定しにくいのが事実です。
顧問契約が取りにくいということは、それだけ新規にお客さんを獲得していかなければならないということですから、行政書士は他の士業よりも「営業力」が必要になるということになります。
ところが、近年の不況の煽りを受けて、新規のお客さんの獲得はますます厳しさを増しています。事実、なかなかお客さんを獲得できず、廃業に追い込まれてしまう行政書士事務所が少なくありません。
日本行政書士会連合会が毎月発行している「月刊 日本行政」によれば、去年1年間に廃業した行政書士の数は1,447名にものぼります。同じ1年間に開業した人の数が1,113名ですから、開業した人よりも廃業してしまった人の方が多い計算です。
独立開業者むけワンポイントアドバイス
行政書士の母数自体はここ何年も変わっていません。にもかかわらず、開業率・廃業率が高いということは、つまりそれだけ業界内の入れ替わりが激しく、競争率が高いということを表しています。
行政書士は士業の中でも特に廃業率の高いお仕事。開業する際には、それなりの覚悟と準備が必要になるといえます。